一時期は時代遅れとされていたブランドが、いつの間にかキャリアウーマンやハリウッドセレブのマストアイテムに変貌していた。そんな魔法のようなブランド例を挙げるとするならば、セリーヌ以外に考えられないでしょう。第二次世界大戦後は上流階級御用達のブランドとして脚光を浴びていたこともありましたが、時代の変遷に伴い、デザインが古臭いとして敬遠されるようになってしまいました。しかし、ディオールやヴィトンの傘下を変遷することで、若く一線で活躍しているデザイナーに息吹を吹きこまれたセリーヌは、完全に新たな新生セリーヌとして生まれ変わったのです。特にセリーヌの中心事業であるバッグに代表される、既存のデザインに囚われないユニークなデザインは、一度見たら忘れられない強烈な印象を私達に与えてくれます。以前、「日々のライフスタイルを、バッグ1つで大きく変化させることだって出来るのだ」と、セリーヌを再生させたマイケル・コース氏は語ったことがあります。
豊富なバッグのラインナップの中でも、とりわけ女性たちに愛されているのが「ラゲージ」でしょう。ラグジュアリーさと機能美を併せ持つのがセリーヌのバッグ全体の特徴ですが、特にラゲージはカジュアルシーンにもビジネスシーンにも簡単に使い分けることが出来るので、コーディネートの一環として色違いで揃えるセリーヌファンも多いのだとか。
また、特に横に飛び出た個性的なシルエットの「ショッパー」は、色によって全く雰囲気が変わってくることで知られています。オレンジやホワイトなどをビビッドな配色は日常に華やかさをもたらしてくれるかと思えば、ブラックトーンの「ショッパー」はシックでエレガントな雰囲気に早変わりしてくれます。
さらに「ラゲージ」の中でも特に人気なのが、「ファントム」です。マチが大きく横に広がっているために全体的に柔らかみのある造りになっていることから、手にするだけで、フェミニンで優しい雰囲気を貴方に与えてくれることでしょう。特にお薦めは「ファントム」と、ゆったりとした服装の組み合わせです。セリーヌのバッグは形状がさまざまなので、バッグの形状にあったコーディネートを考えるだけで、女性らしさが一気に増します。「ラゲージ」は総じて生後6ヶ月の牛の革をなめした柔らかいカーフレザーを使っており、デリケートではありますが、質感はやはりその他の革の追随を許しません。
また、「ラゲージ」シリーズほど有名ではありませんが、「トリオ」も人気です。セリーヌは素敵だけど、「ショッパー」のデザインはちょっと……という人も多いのではないでしょうか。でもそんな方でも思わず手にとってしまうくらい、シンプルで気品と可愛さを兼ね備えているのが、「トリオ」の特徴です。一見しただけでは気づかないほど控えめにセリーヌのロゴがアピールされているのがポイントです。カーフレザーを使った「ラゲージ」とは異なり、「トリオ」にはラム革が用いられています。ラムは吸い付くようなソフトな手触りが特徴であり、「トリオ」を一度触った方ならその感触をなかなか忘れることは出来ない、と言われているほどです。共にデリケートなので日常のお手入れは大変ですが、ビニール製のトートバッグも耐久性が高く、お手軽にセリーヌを持ち歩けるということで人気です。
コーディネートと合わなかったり身の丈を超えたバッグを購入したりしてしまうことに対して、「(バッグを持つのではなく)バッグに持たされている」という表現をデザイナーは好んで使いますが、「ライフスタイルをバッグで変化させる」ことの出来るセリーヌにそんな心配はありません。次のバーキンと言われている「ラゲージ」を筆頭に、日常の中でも息づくモードのデザインをぜひセリーヌで味わってみてはいかがでしょうか。